町工場にもルールと仕組みを。
やりがいと誇りが持てる
仕事・職場・会社を作っていく。
株式会社ISSアートマーク
常務取締役
広崎 哲郎Tetsuro Hirosaki
1997年入社
ルールと仕組みが、
町工場を企業へと変えていく。
およそ20年の営業部門での勤務を経て、2021年1月から資本業務提携を結びグループ企業となった株式会社ISSアートマークの常務取締役を任せていただいています。株式会社ISSアートマークは、広島県福山市に拠点を持つ金属と樹脂の加工を手掛ける企業です。特に樹脂溶接やアルミ加工において高い技術力を持ち、半導体製造プロセスに欠かせない洗浄装置の部品加工などで、多くの依頼をいただいています。
非常に優れた独自技術を持つ株式会社ISSアートマークですが、私が常務に就任した時点では、一定の利益が出ていながらも、いわゆる町工場のまま運営されている状態でした。高い技術を持った職人という人材リソースがあり、市場規模の大きな半導体業界との取引が多く、営業面にも大きな課題がない会社です。社員は勤勉で残業もいとわず、良い製品を作っていく『モノづくりの精神』にあふれています。ですが、そこには改善の余地もありました。
町工場なりの良さがありつつも、組織としてのモロさも併せ持っていたのです。そこに制度や仕組み、ルールに基づく運営をすることで、町工場から企業へと進化させることが、経営のかじ取りを任された私のミッションです。最初に着手したのが、働く上でのルールづくり。社員は真摯に仕事に励んでくれるため、残業時間も多くなっていましたが、仕事をやった分だけ手当で稼ぐといった働き方ではなく、仕事の成果や業績によって収入が得られる仕組みへと変えていきました。
これまでは、労働時間に比例して収入が増えるような報酬体系でしたが、これでは生産性の向上や効率化に対する評価と報酬が得られにくくなります。なぜなら、短時間で効率よく作業できる人よりも、1つの作業に時間がかかる人のほうが、同じ成果であっても頑張っているように見え、手当も増えてしまうからです。時間を費やしてでもやり切る努力は認めますが、本来であれば高い能力や生産性に優れた仕事ができる人こそが評価されて高い収入を得るべき。そのために、評価制度を構築し、労働時間だけではなく成果や生産性によって評価される環境を整えていきました。
長年にわたり営業畑を歩んできた私にとっては不慣れな分野でしたが、管理部門の専門家たちの協力を得ながら、労務・評価・人事・賞与・昇給に関するルールを策定しました。その中で最も気を遣ったのが、社員1人ひとりに納得してもらえるよう丁寧に説明することです。残業時間が減って単純に給与も減るのではなく、生産性を高めることで、短い労働時間でもきちんと収入が得られる仕組み・ルールであることを、しっかりとコミュニケーションを取りながら理解を得ていきました。単にルールや仕組みを押し付けるのではなく、新たなルールや仕組みがきちんと現場で運用されることが重要ですから、社員を不安にさせないよう特に気を付けました。
ISSリアライズの仕事そのものが、
企業経営の礎となる。
私は、経営者としてはまだまだ新米です。新卒入社からずっと20年以上にわたって、営業畑を歩いてきましたから、経営に関する仕事はすべてが未経験でした。営業課長や所長、ブロック長といった役職に就き、マネジメントの経験はありましたが、あくまでも営業組織内に限った経験です。ましてや、製造会社での経験など全くありませんでした。ですが、大きな裁量が与えられるISSリアライズの営業としての経験、さらには組織を束ねるマネジメントの経験は、経営にも通じる部分が多分にあったと感じています。
例えば、ISSリアライズの営業は、売って終わりの仕事ではありません。モノづくりの上流から下流まで幅広いプロセスに携わり、自分なりのやり方をいろいろと試すことができます。中には、マーケティングから自分で考えて実践しているセンスのある人もいるぐらいです。また、ブロック長など組織を任される立場になれば、メンバーと一緒にどうすれば成果を上げていけるのかを考え、人を動かしていく大変さとおもしろさを経験することができます。人材の採用にも関わることができて、他の会社でマネージャーをするよりも、幅広い業務を経験させてもらえる環境があると思います。
いろんな仕事や役割を経験する中で、テクニカルスキルが鍛えられると同時に、物事の本質を把握するコンセプチュアルスキルも身につけられたことが、今の仕事につながっています。意識しなくても、気が付けば経営につながる能力がいつのまにか身についていたというイメージでしょうか。また、現在は人材を育成する環境も整い、いろんな制度を利用してマネジメント力を学んでいくことができます。そうした人を育てる環境と大きな裁量を持てる仕事が、これからどんどん新しい経営者予備軍となる人材を生み出していくと思います。
すべての社員が、やりがいと誇りを
持てる仕事・職場・会社を目指して。
当グループが目指しているのは『Good Lifeを実現するGood Company』です。それを実現することが、経営者としての目標です。人生において仕事が占める割合はとても大きく、仕事がつらくなってしまうと、人生そのものまでつらく感じてしまいます。だからこそ、仕事にやりがいと誇りを持てる会社を作っていきたいですね。
私自身もそうでしたが、20代のうちは仕事以外にも楽しいことがたくさんあって、やりたいことがあふれています。仕事よりもプライベートを重視したいという価値観は否定しません。ただ、個人的な思いとして、幸せに豊かに生きるためにはまずはお金が必要で、人生において多くの時間を費やす仕事はやはり大切です。その仕事に誇りを持って、一生懸命に取り組んでいくことは、素晴らしいことだと考えています。
新しい評価制度や人事制度を組織に取り入れていくのが私の仕事であるというお話をしましたが、社員を評価する上でむやみに他の人と比較するようなやり方はしていません。時として相対評価は必要ですが、その人にはその人のいいところ、長所があるわけですから、特性を生かして、強みを伸ばしていくのが正しい成長の姿です。今は多様性の時代ですから、お互いの個性を尊重して高め合うことが大事です。適切な叱咤激励と称賛を投げかけていくのが私なりの人材育成です。1人ひとりの活躍に称賛と敬意を表して、社員同士で高め合える良い組織『Good Company』にしてきたいと思います。
MESSAGE
経営者になるのは、
遠い未来の話ではない。
目の前の仕事が
未来につながっている。
私自身は、ISSリアライズでの営業を20年ほど経験してからグループ会社の経営に携わるようになりましたが、今後はもっともっと若い層から次の経営者が生まれていくでしょう。昔とは比べ物にならないぐらい人を育てる制度や仕組みが整っていますし、若い人材のポテンシャルも格段に高まっているからです。大きな裁量が与えられる営業の仕事を通して、人との接し方、情報や数字の分析手法、組織を動かしていく楽しさをぜひ学んでいってください。ISSリアライズでの営業は、新たな価値を生み出せるとても魅力ある仕事です。取引先であるメーカーと仕入先である協力会社、そして自分たちがそれぞれにWin-Win-Winの関係を作り出せるのも、営業の面白み・醍醐味と言えるでしょう。安売りをするのではなく、価値を作り出し、その価値そのものに対価を払っていただくことを意識していけば、きっと素晴らしい経験を手にできるはずです。
PEOPLE
人を知る