「当たり前」を疑うことから始まった
世界でも類のない
モノづくりへの挑戦。
広島営業所 営業2課
野添 康太Kouta Nozoe
2015年入社
入社3年目にして、
社会インフラの常識を
変えるかもしれない案件を担当。
新卒で広島営業所に配属されて3年目、あるビッグクライアントの営業を私が担当することになりました。学生のみなさんもきっとご存じの世界有数の総合電機メーカーであり、広島営業所 営業2課の中でも最も大口の取引先です。この時すでに広島営業所との取引実績は20年以上もありましたから、弱冠3年目の自分が担当すると聞いた時は、正直に言って驚きましたし、戸惑いもありました。ですが、当社はそういう会社なんです。ローキャリアのうちから責任あるポジションを任せることで、若い人材の能力を開発していくという考えがあります。よく「環境が人を育てる」と言いますが、まさにそんな感じです。
その取引先は、いろんな事業を多角的に展開している総合電機メーカーですが、私が関わることになったのは、社会インフラを支える大型製品を製造するプロジェクトでした。守秘義務があるので、ここでは詳しいことを公開できませんが、とにかく社会に欠かせない重要なインフラ整備に関わる製品でした。その中で私が担当したのは、あるパーツの加工でした。
それは、高速で回転する軸を固定するためのパーツで、高い耐久性が求められるものです。これまではコストの安い製造方法が採用されていたのですが、満足できる品質にならなくて困っていらっしゃいました。そんなお話を伺った時、私の中であるストーリーが浮かんできました。「もしかしてあの方法なら、課題を根本から解決できるかもしれない」。それこそが、前例のない方法だったのです。
提案するなら今しかない。
すべての条件がそろった
千載一遇のチャンス。
モノづくりに課題を抱えているお客様と、高い専門技術を持つ加工会社の間をつなぎ、新たな製品や価値を生み出していくのが、私たちの役割です。今回の案件で私が提案したのは、従来の製造方法を根本から変える手段でした。
コストはかかりますが、今までの製品よりも品質に優れていて、安定して生産できるというメリットがあります。技術的にはとても難しいのですが、当社のグループ会社であるISS山崎機械が持つ技術であれば、解決することができます。「通常の製造方法とは違う特殊な技術を持つISS山崎機械の協力を得られれば、もしかしたら上手くいくんじゃないか」。たとえ失敗したとしても、挑戦するだけの価値があるならやってみようと思いました。
お客様からパーツの図面を預かり、実際に試作を開始しました。いくつかの改善は必要でしたが、新しい方法で製造できるように設計に微修正を加えていくことで、1つひとつの課題をクリアできました。何度も工場とやり取りを重ねていきましたが、製造担当の方が粘り強く改善に取り組んでくださり、何とか形にすることができました。また、上司や先輩にもサポートしていただき、今回の案件だけに専念できる環境を作っていただけたのが、本当にありがたかったです。
もし、この提案が採用されると、これまでの常識を大きく変えると同時に、大型の契約が確実です。プレッシャーがないわけではありませんでしたが、私自身は大きな仕事を任されてとてもやりがいを感じていました。
苦労の末に新しい製品は完成しましたが、だからと言ってすんなりとお客様に受け入れてもらえるとは限りません。たくさんの関係者から意見を募り、いろんな角度から検討を重ねた上で、採用されるかどうかが決まります。私が提案する製品が採用されるように、ひそかに後押ししてくださったのが先方の設計担当の方でした。実は先方の社内では、新しい製品に対して否定的な意見のほうが少なくなかったのですが、設計担当の方が私の味方になって、デメリットをカバーしてあまりあるメリットがあるという説明をしてくださいました。
特殊な技術を持つISS山崎機械の協力、この案件に期待を寄せてくれる上司や周りの仲間たち。そして先方担当者の理解という、すべての条件が一致したからこそ、前例のない提案が可能となったのです。
特別なスキルはいらない。
誰にでもできることを
ちゃんとやるのが成功の秘訣。
「従来通りの製品」、もしくは「前例のない新しい製品への変更」。最終的な判断は、お客様の社内会議で決定することになりました。ここまでに要した時間は、およそ2年。幾度も試作を繰り返して、十分な強度と品質を検査で証明し、コスト的にも問題がないことも証明してきたつもりです。
とは言え、新しい提案は簡単に受け入れてもらえるものではありません。万が一、重要パーツに不具合が生じれば、社会インフラに重大な影響を与えると同時に、人の命をも左右しかねません。そうしたリスクも踏まえた上で、最終的な判断が下されます。
後日、結果を知らせる連絡をいただきました。先方の購買担当の方に会議中の様子を伺うと、経営幹部のみなさんは新しい製品に否定的だったそうです。ですが、最終的にはキーパーソンである設計担当の方が周囲の意見を押しのけて、私たちの提案を通してくださったとのことでした。微修正を繰り返し、お客様の要望に応え続けてきた2年間。少しずつではありますが、お客様の信頼を積み重ねてきたからこそ、最終的に採用していただくことができたのだと直感しました。自分のやってきたことが間違っていなかったのだと、ほっと胸を撫でおろした瞬間です。
この案件は非常に大きな契約で、その年の社内表彰にランクインしたほどでした。さらに驚いたのが、お客様からも表彰していただけたことです。今回トライした方法は、おそらく世界的にも類のない画期的なものでした。それだけに取引先はもちろん業界全体に与える影響は予想をはるかに超えるもので、そのインパクトの大きさをお客様にも評価していただけることになったのです。数多くのサプライヤーが関わるお客様のプロジェクトにおいて年間サプライヤー表彰を受け、私たちの実績は長く歴史に刻まれることになりました。まさか自分の提案がこれほど大きな反響を呼び、予想しないほどの評価を受けるとは夢にも思っていませんでした。あまりにも周囲の反応が大き過ぎて自分でも驚いているのですが、諦めずにトライして本当に良かったです。また、私たちの地道な努力を見ていてくださったお客様には、心から感謝しています。
この案件は今もずっと続いていて、ISS山崎機械の営業担当・設計担当の方と一緒に、安定的に製品を供給できるようお手伝いしています。私にとって非常に大きな経験であり、営業として成長する転機となった今回の案件。ですが、私自身は特別なことをした意識はまったくありません。お客様から寄せられる要望の1つひとつに必死に食らいつき、小さなリスクを丁寧につぶしていった結果です。
とても地道な作業ですが、誰にでもできる仕事であると思っています。「当たり前のことをやる」「約束はきちんと守る」。こうした基本の積み重ねが、お客様からの信頼を獲得する唯一の方法ではないでしょうか。すぐに結果を出せるような魔法の方法はありません。地味かもしれませんが、だからこそ仕事がおもしろいのだと思います。
MESSAGE
「どんな会社にいるのか」よりも
「どんな仕事ができるのか」が
大切な時代。
世の中には有名な会社や大きな会社がたくさんありますが、会社選びの基準にしていただきたいのが、自分が成長できる会社であるかどうかです。大きくて立派な会社は素晴らしいのですが、もしかしたらチャンスがなかなか巡ってこないかもしれません。もし、少しでも早く経験を積んで、実力を養っていきたいなら、ISSリアライズのような会社がおすすめです。若いうちから大きな取引先を担当できたり、重要な役割に抜擢されたりする会社ですから、どんどん成長していけます。現在は、会社の名前に頼る時代ではありません。会社に安定性を求めるより、個人として実力をつけることが安定性につながる時代です。「どんな会社にいるのか」よりも「どんな仕事ができるのか」を意識して、なりたい自分を目指して頑張ってほしいと思います。
PEOPLE
人を知る